STAFF 社員紹介

2001年入社 / 自然科学研究科
研究開発部 治験薬製造課

1. 仕事内容について

100 mgのラボスケールの医薬品合成法をそのまま用いて、100 kgの工場スケールで製造を行う事はできません。スケールが上がれば、ラボと比べて単位操作の時間が長くなる、発熱制御に必要な冷却能力も大きくなる、撹拌する翼の形状・効率が違うなど、様々な違いが出てきます。その違いが医薬品の品質に大きく影響する事があります。その為、まず、プロセス開発課が、スケールアップの違いを想定したプロセス条件のラボ検討を行います。しかし、ラボ検討だけでは想定できない結果が数多くあります。その為、ラボスケールで最適化したプロセス条件を用いて、実際に工場で製造を行い、ラボでは見つけることができなかった問題点の抽出、原因特定(実機検証)が必要不可欠です。この実機検証をする仕事は医薬品製造法を開発する上で重要な仕事のひとつです。私たち治験薬製造課は、この実機検証する事を主な仕事としています。
実機検証の準備として、実験データに基づく発熱量、撹拌速度などのシミュレーション、プロセス要件を満たす設備の選定、取り扱う化学物質の安全性、火災・反応危険性などを評価し具体的な工場での操作方法を計画します。製造時は、計画した条件に従い設備を操作し、ラボと工場の状況の違いを確認しています。品質・収率に影響を及ぼすような違いが認められた場合には、次の製造に向けて改善策を提案しています。これらを行う為には、化学工学や製造設備に関する知識、有機化学の知識が必要となります。

2. 仕事のやりがい

開発初期の治験薬の製造プロセスは未完成でスケールアップ実績も乏しい為、設備・操作条件に様々な工夫が必要です。試行錯誤によって困難をクリアできた時が、治験薬製造課の仕事でやりがいを感じる部分の一つです。私が担当したテーマでは、含水溶媒で湿潤した結晶を乾燥させ水和物を得なければならないプロセスで、通常の減圧乾燥では溶媒和物が混じってしまう現象がラボで確認され、それを回避する方法として特殊な調湿条件がラボから提案されました。ところが、十全の設備では実績のない方法であった為、設備の工夫と試運転を繰り返し、実現可能な設備および操作条件を考案しました。苦労して見出した条件で製造を行い成功した時は、この上ない達成感を味わいました。
また、実機を操作して臨床試験用の原薬を製造しながら、未完成の製造方法の問題点に直接ぶち当たり、商用生産ができる安定した製造方法に改良するにはどうしたら良いのかを、治験薬製造課のみんなで議論し、提案した改善が次回製造で活かされるというこの一連のプロセスに、最もおもしろみを感じます。

3. 入社を検討されている方へのメッセージ

私たちが行っている製造は、プロセス条件の問題点を抽出・改善するおもしろみのある実機検証である半面、臨床試験用の原薬として要求されている品質、数量を確保して決められた納期までに製薬会社に納めなければならない一発勝負の生産でもある為、失敗は許されないというプレッシャーはあります。しかし、アイデアと計画力、行動力でトラブルを回避し、困難を乗り越えて製品を得ることができた時、大きな達成感を味わうことができます。
治験薬製造課では基本的な化学工学、有機化学の知識が必要ですが、それ以上にアイデアと計画力、行動力が重要です。アイデアと計画力、行動力に自信のあるアナタ、一緒に仕事をしてみませんか?

4. ある一日のスケジュール例

8:00-8:20 出社、製造設備の見回り

工程の進捗状況や、設備に異常がないかを確認。そこで、工程進捗が予定タイムスケジュールからやや遅れていることに気づく。

8:30-8:45業務の引き継ぎ(申し送り)
ミーティング

業務日誌を読み、遅れの原因が何なのか、申し送りにおいて納得するまで質問し、疑問点を解決して業務を引き継ぐ。ラボ担当者とプロセス上・安全上の注意点を打ち合わせ。

8:45-12:30工程操作
(滴下・反応~クエンチ・分液操作)

予め熱計算で推算していた通り、流量モニターで滴下量を100L/hrに調整し、20℃の冷水での冷却で内温をコントロールできた。
反応は予定通り1時間で終了。ただしラボ実験よりも不純物の生成量がやや多いため、以降の操作で抜ける不純物なのかプロセス開発課の担当者に確認。固液分離で十分抜ける程度であると分かり、予定通り操作を進めた。

12:30-13:30 昼食

13:30-15:30工程操作
(分液・洗浄~減圧濃縮、仕込み操作)

濃縮初期には発泡が大きいとの情報から、減圧度をゆっくり上げて発泡を抑えた。濃縮が安定するまで監視し、濃縮が安定した所で、滴下缶への仕込み・清掃を行った。

15:30-16:00記録類の記入
製造設備の見回り・
日常点検、3S

濃縮操作を進めながら、業務日誌や残った記録類の記入。その後設備の見回り・日常点検を行い、機器の異常はないか、備品の片付け忘れはないか、3Sは十分か確認。

16:00-16:20 業務の引き継ぎ(申し送り)

後半の操作の業務日誌を記入し、業務の引き継ぎを実施。

16:20-16:50 現場の最終確認

現場の最終確認を行い、今日もトラブルなく無事に業務を終えられたことに安堵し、17:00に気持ちよく退社。